かもしれない。
すると。
「じゃあ、10年前に言った冗談、冗談じゃなくするか。10年経ってもお互いにフリーだったら、そのときは…ってヤツ」
あたしはかなり冗談っぽく言ったつもりだったのだけど、逆に祐は真に受けたようだった。
とたんに熱い視線であたしを射ると、そのまま腕を引っ張り個室のトイレに連れ込まれる。
有無を言わせぬ勢いで舌をねじ込まれ、あたしは目を閉じることさえ忘れて祐越しに見える天井をぼんやり見つめていた。
やがて唇を離した祐が低く囁く。
「早く別れろよ」
「…うん」
今日、同窓会に出たのも、明日まで会社の休みを取ったのも、彼氏の愚痴を言ったのも。
全てはきっと、祐にこうしてほしかったから。
かもしれない―…。