―君ノ隣―

「美羅が小5のときに引っ越して…
5年ぶりぐらいか!」


「そうだね♪智樹の家って双葉マンション?
今朝似てる人を見かけたんだけど…。」


「そうだけど…隣に引っ越してきたの美羅の家か!」


「改めてよろしくね♪」


「お前ら知り合いだったのか!
じゃあみんな仲良くするように!
今日はこれで終わりです!」



HRが終わりみんなが教室を出ていく。

智くんと美羅さんは仲良さげに楽しそうに話している。

家も隣。席も隣。しかも幼なじみ的存在。

すごく不安。こんな気持ちやだな。



「智樹帰るぞー。」


「わりぃ。
美羅が駅までの道まだ覚えてないらしくてさ。美羅も一緒でいいか?」


「いいよ!」


「紹介するよ。
俺の親友の戸田政希。で彼女の山白亜由加。
俺の彼女の松井雪奈。」



帰り道。帰りの車内。美羅さんと智くんはずっと話していた。

智くんのばか。放置しないでよ。



「じゃあな亜由加♪」


「政希バイバイ♪」


「じゃあな雪!」



そう言って智くんは私の頭を撫でてから電車を降りた。

視線を感じ見ると美羅さんがじっと私をみていた…いや睨んでいた…?



「亜由加ちゃん、雪奈ちゃんバイバイ♪」


「ばいばぁい♪」


「バイバイ…。」



そう笑顔で言って美羅さんは電車から降りて行った。

その笑顔が怖いよ。新学期早々こんな不安に襲われたくないよ。

気づいてよ智くん。


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