―君ノ隣―
美羅side
あたしは智樹の唇に自分の唇を重ねた。
唇を離してそのまま抱きついた。
智樹は怒りもせず頭をなでて腰に手をまわした。
分かってる。これは智樹の優しさであって
あたしの求めてるものじゃないって分かってる。
この恋は叶わないことも分かってる。
だって智樹はあたしのことを恋愛対象としてみてないから。
あたしは智樹から離れてじっと見た。
止まったはずの涙がまた溢れる。
「美羅?」
「智樹と雪奈ちゃんが…
どれだけお互い大切に想い合ってるかわかってる。
だけどあたし…ずっとずっと…智樹が好きだった!
今も大好きなの!」
「美羅…俺は…。」
「何も言わないで?わかってるから。
キスしてごめんね?ありがとう。」
「美羅…。」
「智樹…さよなら。」
そう言ってあたしはその場から走り去った。