―君ノ隣―
雪奈side
私はたくさん泣いて落ち着いてから公園を出ようとしたときだった。
智くんと美羅さんの姿が見えてトイレに隠れた。
出るに出れずその場にとどまるしかなかった。
静かな空気の中に美羅さんの泣き声が混じる。
ちゅっ
一瞬心臓が止まった気がした。
智くんは怒りもせずただただ頭をなでて美羅さんを抱きしめた。
「智樹と雪奈ちゃんが…
どれだけお互い大切に想い合ってるかわかってる。
だけどあたし…ずっとずっと…智樹が好きだった!
今も大好きなの!」
智くんは驚いていた。初めて知った美羅さんの想い。
智くんはどこか切なそうな顔をした。
でも美羅さんはスッキリしたような表情をしていた。
「智樹…さよなら…。」
そう言って美羅さんは公園から去っていった。
智くんは公園の入り口をじっと見て立ち尽くしていた。どうしよう。出れない。
♪~♪~♪~
「あっ!」
「雪っ!」
「ごめん…聞くつもりはなかったんだけど…。」
「ごめん…。雪を傷つけてた。」
「ううん。私こそ怒ってごめんね。」
「俺は雪のこと誰よりも大切に想ってるから。」
「私もだよ。智くん大好き。」
智くんは私をギュッと抱きしめたあとそっとキスをした。