―君ノ隣―


「実はあたしイタリアに留学するの。
明日の10時の飛行機で。」


「智樹と雪奈には言わないのか?」


「挨拶ぐらいさ…?」


「いいの…。会わせる顔もないし…。」


「ねぇ…ほんとにそれでいいの??後悔しない??

あのとき挨拶ぐらいすれば良かったなって
あとから思っても遅いんだよ!?」


「亜由加…!!」


「短い間だったけどありがとう。楽しかったよ。
二人には内緒してね?バイバイ。」 



そう言って去って行ったらしい。

隣に座っている智くんは切なそうな表情を浮かべていた。

車内ではだれも言葉を交わさず
ラジオが流れているだけだった。


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