―君ノ隣―


雪奈side


私は部屋を出て砂浜に座っていた。

あたりは暗く、潮風が吹き波が穏やかに波立て波音が響く。


「何してるの?」


「……竹井くん。」


「智樹じゃなくてごめんね。隣座っていい?」


竹井くんは私の横に座り、二人で海を眺めながらいろんな話をした。


「雪奈ちゃん。」


「なに?」


「智樹と別れて俺と付き合わない?」


「なに言って…。」


「俺は本気だよ。
絶対泣かせないし辛い思いもさせない。幸せにする。」


「竹井くん…。」


「返事はいつでもいいから。」


そう言って竹井くんは立ち上がり去って行った。

私は竹井くんを追いかけて呼び止めた。



「竹井くん!」


「ん?」


「ごめんなさい。竹井くんの気持ちには応えられない。」


「いつでもいいって…。」


「うん、でもね。智くんが大好きだから。

それに…。

辛くない、幸せしかない恋は恋じゃない気がするんだ。

辛いことも悲しいことも嬉しいこともあるから恋だと思うんだ。」


「そっか…。ありがとう。早く智樹と仲直りしろよ!」


「私を好きになってくれてありがとう!」



ごめんね竹井くん。これが私の恋だから。智くんが大好きだから。


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