―君ノ隣―
雪奈side
重たく静かな空気が流れる教室。
少しずついつもの騒がしさに戻っていった。
なんで嘘なんかついたのかな…。
麻里ちゃんは智くんの元カノで、私のことを恨んでるって聞いたこともある。
記憶のない今がチャンスって思ったのかな。
「智樹ー。本当にいいのかよ?」
「なんか断れなくてさ…。
それになんか思い出すかもしれないしさ…?」
「だからってよー…。」
「なんだよ神悟まで…。」
「雪奈?ちょっと泣いてるの?」
「え?」
亜由加に言われて気づいた。
あふれでた涙。止まらない涙。
4人が心配して声をかけてくれるが涙は止まらない。
智くん優しすぎるよ。
ちょっとは疑ってよ。
そんな優しさに麻里ちゃんはつけこんだのかな。
「ちょっとごめん。3人でご飯食べてて?雪奈?行こ?」