お風呂上がりの望遠鏡
一通の封書が目に入った。
手にとってみる。

「押領司勝さま」

えっ、司って名前じゃなかったんだ。

おしりょうじ まさる?
変な名前。

差出人は、野村依子。

なによこれ、恋人がいるんじゃない。



無性に腹が立ってきた。

それは衝動的だった。
気付くと、その手紙をバッグの中に入れていた。

通りの方を見ると小学生と目が合ったが、にらみ返してやった。

腰のあたりが疼く。
歩くのも困難なほどに疼いていた。

ともかく、急いでその場を離れた。



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