お風呂上がりの望遠鏡
10.待ち合わせ
突然、ケータイが鳴った。
「あ、あのぉ。押領司っすけど」
なに?
心拍数が急上昇する。
ちょっと目を離したすきに何があったっていうの。
それでも平静を装う。
「どうしたの」
「あの、お礼に食事に行きませんか」
なになに、さっきから電話するかしないかで、迷ってたってこと?
うー、可愛いじゃないの。
「そんな気をつかわなくても良かったのに」
「いえいえ」
「どこに連れてってくれるの」
「どこがいいっすか」
Mビルに新しくできたイタリアンのお店がすぐに頭に浮かんだ。
でも、さすがにちょっと遠慮した。
「そうねぇ、それじゃぁ、押領司くんがいつも行ってるところ」