お風呂上がりの望遠鏡
「それで、どこに連れてってくれるの?」
押領司くんは山の上のホテルを指さした。
(ウソ、展望レストラン?)
まだ、ちょっと辛い、元カレとの思い出の場所。
「あそこのガーデンレストランです」
あっ、ガーデンレストランね。
会社のみんなとビアガーデンに行ったことがある。
ファミリーが多くて、ちょっとうるさいけど、悪くはない。
どんな思いであんなところを選んだんだろう。
情報誌?友人の薦め?以前行ったときに気にいったとか?
そんなことを考えていたら、押領司くんのことが愛おしくてたまらなくなっていた。