お風呂上がりの望遠鏡
「ひとりで来たの?」
押領司クンは女の子の横に腰掛けた。
でも、女の子は正面を見据えたまま、返事をしようとしない。
「お母さんは?」
押領司クンは言葉を付け足す。
それでも、女の子は黙ったまま。
気づくと、みるみるその目に涙をためていく。
そして、視線を落とし、口を堅く結んだ。
私はため息をつく。
でも、押領司クンにめげる様子はない。
「何だよ。泣くなよ」
女の子の肩に手を置いた。