お風呂上がりの望遠鏡
 
ゴンドラは高度を上げていく。

それにつれ、視界もひらけていく。



真ん中あたりに差し掛かったとき、下りのゴンドラとすれ違った。


「押領司クン、あれ!!」

下りのゴンドラの中に、必死の形相で大きく手を振る男の人がいる。

「ほら、お父さんじゃないの」

私は女の子の肩を揺らす。

女の子は顔を上げ、フラフラと立ち上がった。


 


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