お風呂上がりの望遠鏡
女の子は父親らしき人の姿を確認すると、またベンチシートに腰掛けた。
期待はずれ。
もっと喜ぶかと思ったのに。
押領司クンも仕方ないねって、目で合図した。
ゴンドラは揺れながら、変な加速度で到着した。
係の人がドアを開ける。
「加奈ちゃん?」
係の人に呼ばれて振り向くと、それは私じゃなく、その女の子のことだった。
「お父さんがここで待っとくようにって」
係の人は優しく伝言を伝えた。