お風呂上がりの望遠鏡
 
上りのゴンドラが到着した。

乗客の多さに驚く。

5、6歳の女の子を連れた男の人が駆け寄ってきた。

押領司クンをチラッと見て、私に軽く会釈した。

「加奈、心配したぞ」

加奈ちゃんとあやちゃんの頭を撫でながら、その人は二人を腰で抱き留めた。



「申し訳ありませんでした。いっしょにゴンドラに乗ったんですけど、気づくとこの子だけ降りてたもんですから、参りました。上に来たり、下に戻ったりと大変でした。ハハハ」

そう言いながら、加奈ちゃんにべったり貼り付くあやちゃんを無理矢理はがした。

「ほら、ちゃんと挨拶しなさい」

加奈ちゃんの頭を押し下げた。


 
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