お風呂上がりの望遠鏡
「むかし、妹がいたんですけど・・」
「ええ」
「今でも小学2年生のままなんです」
押領司クンと私は、加奈ちゃんたちの後ろを少し離れて歩いていた。
追い越したりしないようにゆっくりと、ゆっくりと。
押領司クンは加奈ちゃんの中に妹さんの面影を抱いている。
「妹さんとは、ずっと会ってないんだ」
「会ってないっていうか、もう会えないんです」
「えっ?」
「行方不明なんです」
加奈ちゃんを追いかけていた視線を押領司クンに移した。