お風呂上がりの望遠鏡
案内されたのは窓側の席だった。
かまぼこ形の高い天井と薄暗い空間。
多くの観葉植物と高い湿度が熱帯植物園を連想させた。
そこはホテルに隣接するガーデンレストランという名のレストラン。
ホテルの中に入って行った加奈ちゃん父娘を目だけで見送って、押領司クンの後に続いた。
窓の外は芝生で埋め尽くされ、テーブル席が並んでいる。
芝生の中に作られたレンガ路を辿って行くと、敷地の奥の白い建物が目に入った。
(あっ、チャペル)
心をワシづかみされた気分。
そこは、私の空想の舞台になったところ。
きっと、ひどい顔をしていたんだと思う。
「すいません。嫌な気分にさせちゃって」
押領司クンの言葉で我に返った。