お風呂上がりの望遠鏡
私は窓際へ直行し、望遠鏡を取り出した。
思った通り、押領司クンはケータイを耳にあてている。
私は押領司クンが話し終わるのを待って、メールじゃなく、直接電話した。
「加奈ちゃんから連絡あったから、押領司クンの電話番号を教えたけど、良かったかしら」
「ああ、いま加奈ちゃんから電話あったとこです。加奈ちゃんに名刺を渡してたんですね」
「えっ、ええ。加奈ちゃんのお父さんに見つからないように、こっそりとね。それで、何かあったの。加奈ちゃん、元気なかったみたいだけど」
「でしょ。加奈ちゃん、元気ないなぁって。ホント、心配ですよね」
「あのオヤジ、切れたら怖そうだもんね」
「そうなんですよね」
「それで、明日の約束、覚えてる?」
「ホントに連れてってもらえるんですか。なんだか、催促するみたいで、連絡取りづらくて・・」