お風呂上がりの望遠鏡
窓際に立って月を眺めていると、いつの間にか押領司クンもやってきていた。
「びっくりしたぁ」
「きれいですね」
「・・・」
押領司クンはグラスに注いだビールを私に渡すと自分のグラスをぶつけてきた。
私は押領司クンを見上げ、一番可愛い笑顔を見せた。
「誕生日になっちゃいましたね」
私はちらっと壁の時計を見たが、今何時かなんてどうでもよかった。
「おめでとうございます」
「あ、ありがとう」
見つめ合ったまま、時間が止まったようだった。
高揚感に満たされ、雰囲気に酔いそうだった。
「あ、あの、押領司クン・・」
「はい」
押領司クンは真っ直ぐに私を見つめている。
「わ、わたし、・・私の頭も撫でてくれない?」
「そ、そっちですか」
押領司クンは顔を近づけて、グリグリとやや乱暴に私の頭を撫でてくれた。
私は胸が熱くなるのを止められなかった。
私は目の前にあった押領司クンの唇に軽く口付けた。
「頭を撫でててくれたお礼」
私の言葉をふさぐように、すぐに押領司クンの方から私に口付けた。
深く深く、口付けた。
遠く離れた私の部屋から、二人の姿をテディベアが見つめていた