お風呂上がりの望遠鏡
私は加奈ちゃんと離れ、先遣隊として偵察する。
スペイン風の外観の洒落た二階建ての家だった。
カーポートにバイクの姿はない。
私は振り向き、通りの角にいる加奈ちゃんに向かって、手で大きな丸を作った。
私は玄関に向かってゆっくりと歩きだす。
玄関の前に立つころには加奈ちゃんも追いつき、私の裾をつかんだ。
走ってきた加奈ちゃんは肩で大きく息をしている。
私も呼吸を整える。
チャイムを鳴らした。
返事はない。
やっぱり、いないのか。
カーポートの横を抜けて裏庭へ回る。
手入れのされていない庭は荒れ、夏草がこれでもかと言わんばかりに伸びている。
そして、雨戸代わりのシャッターが下ろされていた。
ふと、視線を感じて振り向くと、隣家の庭に立つ年配の女性と目が合った。