My princess story ~我は将軍様!?~
《妃奈side》
いや、ちょっと待って…。
ここは…どこ?
起き上がると、広く、華やかな“和“という感じの部屋が目に入った。
私の服装もおかしい。
さっきまでのフリルのワンピースではなく、豪華な着物に身を包んでいる。
寝かされていたこれまた豪華な布団から出て、大きな障子をゆっくり開く。
うそでしょ…?
ここはとても高い場所にあるようだ。
下をのぞくと、いつぞや教科書で見た江戸の町並みが広がっている。
忙しそうに商いに励む商人。
自分より明らかに質素な着物を着た女性。
立派な刀を腰にさしている武士らしき人。
夢…?
ほっぺたをつねってみる。
「いたっ!」
どうやら夢ではないようだ。
どういうこと?
パニック状態の私。
すると、奥の襖が開いた。
「失礼致します。」
そういって頭を深く下げた後、一人の美男が部屋に入ってきた。
「舞鈴姫、お目覚めでございますか。」
「み、蜜留!?」
華やかな着物を着た美男は、蜜留にそっくりな人…
というか蜜留だった。
「???姫、何をおっしゃっているのです?私は時定でございます故、そのようなお方ではありませぬ。」
あくまで冷静に、美男は答える。
明らかに私の方が身分は上らしい…。
ここは一応話を合わせた方がいいよね。
「…と、時定。一体、何があったのですか…?」
「姫が私に敬語を使うなんて、珍しいですね。」
そういって、優しく微笑んだ。
この人、めちゃくちゃかっこいい…。
不覚にもドキッと胸が高鳴った。
「いや、別に…そんなことはない…。」
「まぁ、良いでしょう。」
そういって、時定はくすりと笑った。
「姫は倒れられたのですよ。体調がよろしくないのでしょう。今日は布団でお休みになってください。」
ドクンッ
「いたっ!」
急に激しい頭痛が私を襲った。
その場に倒れ込む。
「姫!」
とっさに私を抱きかかえ、布団に寝かせる時定。
その時、私は感じた。
というより、思い出した。
私は舞鈴姫であることを。
そして、これは“妃奈“の前世であることを…。
突然睡魔がやってきて、私は再び眠りについた。