甘く、淫らな恋情。
甘く、淫らな恋情。
「山下さん、最近レッスンにお見えにならないようですが、どうかなさったんですか?」
週に1度の社交ダンス教室。
レッスンが終わったとたん、講師の葉山さんに呼び止められた。
山下とは、山下徹。
あたしの彼氏であり、社交ダンスに誘ってきた張本人だ。
「いえ、仕事で…。もうすぐ大会なのにすみません、顔を出すように言っておきますね」
「そうでしたか…。木藤さん、大会に向けてすごく頑張っているのにもったいないですよね。入賞だって夢じゃないのに」
「そんな、あたしはまだまだ…」
「いえいえ、お上手ですよ」
徹があまりにもレッスンに来ないものだから、大会にエントリーしてからは、あたしは葉山さんと練習せざるを得なかった。
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