第三金曜日
彼氏がいるのに男友達と




お互い恋人がいてもフリーでも。
第三金曜日の約束は一度も破ったことがなかった。

彼氏に対してやましいことは何もない。
男友達と呑みに行くというただそれだけのこと。

なのに今日で最後にしようと彼は言った。
それは真夜中、ちょうど5杯目のサングリアを飲み終えた時だった。



「結婚してほしいって言われたんだ」


付き合って二年が経つ彼女は結婚適齢期を迎えて彼に婚約を迫ったらしい。
以前からそんな気配はあると言っていたけれど、ズバリ言われたのは初めてだと困惑していた。


「そろそろちゃんとしなきゃいけねえ歳なのかな、」


ネクタイを緩めた彼は大学生の頃と変わらない童顔で苦く笑う。

カランと溶けた氷がグラスにぶつかる音がバーラウンジに寂しく響いた。





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