ミントチョコの魔法 〜afterプラス〜
「えっ?」




「まだもう少し駅までかかるし」




「じ、じゃあ失礼します」




栄が言ってくれたからあたしは制服の裾をそっと掴んだ。


移動する距離は少なくなったけど
揺れるたび体が当たる。



今日朝、ミントチョコ食べてきて良かった。




「ごめん。結局栄に当たっちゃってるね」




「いいよ。さっきみたいに支えがなかったらそのうちあっちまで飛んでったかもしれないし」




栄の視線は少し距離のある車両間の扉。




「あんなとこまで飛ばないもん。せめてその手前くらい」




「アハハ。手前なんだ。大して変わんないじゃん」




「あ、そっか」



栄のこの空気好きだな。



その笑顔も。
全部手に入れれたらいいのにな。




「あ、そうだ。土曜日ありがとう。いっぱいごちそうさま。それでこれお礼なんだけど」




とりあえず揺れが落ち着いてあたしは
カバンから昨日買ったものを取り出した。
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