ひみつ
「な、何言って…」
「だって」
『今にも泣きそうな顔してる』
彼はそう呟くと私の頬に手でそっと触れた。
外気で冷えきった肌に温かな体温が触れた瞬間、
もっと触れてほしい。
そう思ってしまった。
自分から一歩歩みより、彼のシャツにしがみつくととても強い力で抱きしめてくれた。
キィィ、と音をたてドアがしまる。
ガチャリ。
閉まるドアの音に
もう戻れないことを感じた。
そして新たに何かが始まる予感がした。