刈人
「……なんだ、今日は先客がいるのか」
知らない、女の声だった。
俺はまだこの闇に目が慣れてない。
見えるのは一面真っ黒な世界。
彼女は俺のことが見えているのだろうか。
「!」
なんて思っていると、アヤカシがこちらに向かってくる気配がした。
「あ、あんた!!!俺の近くに来てくれ!!!俺が見えてるんだろ!!?」
アヤカシは、アヤカシが見える人を襲う化け物。
目を合わせると、刈るか殺されるまで執拗に追いかけてくる。
刈人である俺は、彼女を守らなければならないのだ。
だけどこんな俺の状態じゃ、彼女をここに呼んで結界を張るくらいしか出来ない。
アヤカシには結界内にいる人の姿は見えなくなる。
「今日はやけに多いな…」
イラついたような声音だった。
だんだん、目が慣れてくる。
「シャァァァッッ」
アヤカシの声が聞こえた。