蠱惑的な熱視線
彼氏がいるのにカメラの前で
「はい、笑って笑って」
踊るように軽やかな彼の声にのせられて、私はふっと口元に笑みを浮かべた。
すかさず、パシャパシャと独特のシャッター音が鳴り響く。一枚目、二枚目、ほんの少しポーズを変えて三枚目。
カメラ越しに、真っ直ぐな彼の視線を感じる。それだけで言いようのない高揚感が私を包む。
フラッシュがたかれ、一瞬の隙も見逃さないとばかりに真剣な瞳が私を射抜いて。まるで自分のすべてを見られているような錯覚を覚える。
もっとこっちを見て。もっともっと私を見て。
そんな思いをこめながら、じぃっとレンズを、彼を。見つめる。
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