貴方は知らない人だけど【TABOO】
「僕、角谷亮(かどたにあきら)。あそこにいる村瀬さんの同僚なんだ」
って、もしかしてこの場では部外者になるんじゃないの?
「無理やり連れて来られて戸惑ったけど、皆いい人だね。すぐ馴染めちゃった」
「…うん」
おかげで今存在に気付いたくらいだもんね。
「あっ、タバコ近くに売ってるとこあったっけ?」
向かいから、誰かの声が届く。
「近くにコンビニあるから買ってくるよ」
すかさず、角谷という人が声を上げた。
「えー?悪いよ」
「いいからいいから、ね?春菜さん」
「え?」
言うが早いか、彼は銘柄を聞きだすと私を促して外へ出た。その場は随分と盛り上がっていたから、誰もそれを気にしない。
「あの、角谷…くん?」
「亮でいいよ、春菜さん」
「えっと、離してもらえるかな」
ごく自然に彼に繋がれた手。何がどうしてこうなったのか。
「離す前に、いい?」
足を止めた途端、彼は私に口付けた。けれど気付いていないはずはない。
繋いだ私の右手に指輪がはめられている事を。私も、忘れたふりをした。
って、もしかしてこの場では部外者になるんじゃないの?
「無理やり連れて来られて戸惑ったけど、皆いい人だね。すぐ馴染めちゃった」
「…うん」
おかげで今存在に気付いたくらいだもんね。
「あっ、タバコ近くに売ってるとこあったっけ?」
向かいから、誰かの声が届く。
「近くにコンビニあるから買ってくるよ」
すかさず、角谷という人が声を上げた。
「えー?悪いよ」
「いいからいいから、ね?春菜さん」
「え?」
言うが早いか、彼は銘柄を聞きだすと私を促して外へ出た。その場は随分と盛り上がっていたから、誰もそれを気にしない。
「あの、角谷…くん?」
「亮でいいよ、春菜さん」
「えっと、離してもらえるかな」
ごく自然に彼に繋がれた手。何がどうしてこうなったのか。
「離す前に、いい?」
足を止めた途端、彼は私に口付けた。けれど気付いていないはずはない。
繋いだ私の右手に指輪がはめられている事を。私も、忘れたふりをした。