狐さんに取り憑かれました2【短編】
私の声に反応するように、少年は顔を上げた。
凄く綺麗な目をしている少年ですね。
驚きに、すこし目を見開いた。
少年の瞳は、サファイアを連想させるほど美しい青色をしていた。
『帰る家がないのですか?』
コクリと力なく頷く少年に手をさし伸ばした。
『ならば、我が家へ招待しましょう。私の家にきなさい』
少年は、一瞬ポカーンとした表情をした。それからすぐ、雨とは違う水を両目から溢れさせた。
『少年?目から水……』
ガバッと勢いよく抱きつかれた所為で、バランスを崩して尻餅をついた。