狐さんに取り憑かれました2【短編】
ワンワンと泣いているらしい少年からは、一切声は聞こえない。
原因は、喉にできている大きな切り傷の所為だと推測される。
どう考えても、この少年は人ではない。
そんなこと一発で理解できた。だてに十五年間妖怪や幽霊を見てきたわけではない。
人か妖怪かくらい見分けは付く。
それでも、この子を我が家に連れて帰ろうとしている。
『……泣き止んでください。少年』
昔の私が聞いたら、度肝を抜かれるでしょうね。