狐さんに取り憑かれました2【短編】
『少年の目に、魂が宿ってなかったんです』
私の説明に、狐さんは何も言わない。殺気を解いてただ、静かに聴いてくれている。
『その目は、狐さんに会う前の私にそっくりでした』
顔を上げたときの少年の目は、確かに美しい色をしていた。
でも、その瞳に希望の光はミジンも感じなかった。
この世に何の期待もせず、未練もなく、どうして今生きているのかさえわかっていない。
そんな目をしていた。
そう……数ヶ月前の、私と同じ様な《目》
『だから、少年をほって置く訳には行かなかったのです』