血を受け継ぐ者~選宝の使い手~
…転校生はあの樋村透真だった。
でもやっぱり瞳はあの時見た真紅じゃない。
綺麗な薄茶色。
見間違えだったのかな…。
『じゃあ、自己紹介してくれ』
担任に促され、彼は
『樋村透真です。よろしく』
と名乗った。
やっぱり…。
逆にここまで似てて別人だっていうのはありえないな。
『仲良くな!樋村の席は…あそこだな』
担任が指差したのはあたしとは遠い席だった。
あたしの席は窓側の一番後ろ。
樋村君の席は反対側の一番後ろだった。
彼はそこへ向かって歩きだした。
あたしは彼をじーっと、かつさりげなく見つめる。
すると…
バチッ。
目がばっちりあった。
そして樋村君は微かに微笑んだ…気がした。