ポケットに婚約指輪

 やがて二人が一階のコンビニ入ったので、私も追いかける。

声をかけようか。
迷いつつ中をキョロキョロと探すと、私の名前を含んだ話し声が聞こえてきた。


「へぇ、菫も誘ったの?」

「うん。お土産も渡したいしぃ」

「菫には旦那様から渡してもらえば良いじゃん。同じ部署でしょ」


どうやら二人は棚の向こうにいるらしい。

店員さんの声にまぎれて聞き取れない時もあるけど、話の概要はつかめる程度の音量で話している。


「うん、でもぉ。なんか嫌なんだもん。徹夫、お式の時もやたらと菫のこと気にしてたし」

「何言ってんの、新婚早々。大丈夫よ。舞波さん、アンタにぞっこんじゃん」

「そんなこと無いよ。たまに怒るし。結構、旅行中も別行動多かったし。私の買い物、付き合いきれないって」

「それにしたって、相手が菫なら大丈夫でしょ。地味だもん。確かに式の時はあたしもすげー化けたって思ったけど。あれからまた地味子に戻ってるよ。心配すること無いって」

「そうかなぁ。でも一応ね。見せ付ける意味でも今日のランチは重要。頼むね、久実」

「ハイハイ、任せときなって」

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