ポケットに婚約指輪
波の音に乗せて
【今日はいいことがありました。里中さんのお陰です】
【へぇ。どんなこと?】
夜、独り言を呟くようにしたためたメールに、里中さんは興味を示してくれた。
「仕事で、少し責任のある役が、もらえて……」
呟きながらメールの文字を入力していると、いきなり画面が切り替わり着信メロディが鳴る。
その画面に表示されている名前は、今まさに返事をしようとしていた相手だ。
「もしもし」
『やあ、いい話みたいだから直接聞こうと思って』
「そうなんです!」
声が聞けたことでテンションがあがってくる。
私は、以前より責任のある仕事に回してもらえた事を伝えた。
舞波さんのことは流石に話せなかったけれど。
『お祝いしようか。週末、どこに行きたい?』
「本当ですか? どこでもいいです」
里中さんと一緒なら、きっとどこでも楽しい。
ウキウキ気分は伝わるのか、里中さんもずっと楽しそうに話してくれる。