ポケットに婚約指輪
*
土曜日、里中さんはいつものように車で迎えに来てくれた。
海辺は風が強いだろうと、今日はジーンズにしてみた。トップスはいつもよりもフリルの多いものでジーンズのシンプルさを補わせる。髪もいつも下ろしてばかりだけど結い上げてみた。
「お、なんかイメージ違うね」
「どうですか?」
「可愛い可愛い。いい感じ」
素直に褒めてもらるのがとても嬉しくて、少し不安にもなる。
オトナになるとただ信じているだけではいられない。
幸せなことにも終わりはあると、もう知ってしまっているから。
「じゃあ乗って」
「はい」
里中さんとのお出かけはいつも楽しい。
ドライブが好きというのは本当なのだろう。彼は遠出することを嫌がらない。
やがて車は海水浴場の駐車場で止まる。もう海水浴シーズンは過ぎているので、車はまばらだ。
「……里中さんっていろんな場所知ってるんですね」
「うん、まあね」
「あ、日焼け止め塗らなきゃ」
スプレー式の日焼け止めを取り出すと彼はくすりと笑う。
「女ってホント不思議なとこ気にするよね」
「だって。焼けたら取り返しつかないですもん」
土曜日、里中さんはいつものように車で迎えに来てくれた。
海辺は風が強いだろうと、今日はジーンズにしてみた。トップスはいつもよりもフリルの多いものでジーンズのシンプルさを補わせる。髪もいつも下ろしてばかりだけど結い上げてみた。
「お、なんかイメージ違うね」
「どうですか?」
「可愛い可愛い。いい感じ」
素直に褒めてもらるのがとても嬉しくて、少し不安にもなる。
オトナになるとただ信じているだけではいられない。
幸せなことにも終わりはあると、もう知ってしまっているから。
「じゃあ乗って」
「はい」
里中さんとのお出かけはいつも楽しい。
ドライブが好きというのは本当なのだろう。彼は遠出することを嫌がらない。
やがて車は海水浴場の駐車場で止まる。もう海水浴シーズンは過ぎているので、車はまばらだ。
「……里中さんっていろんな場所知ってるんですね」
「うん、まあね」
「あ、日焼け止め塗らなきゃ」
スプレー式の日焼け止めを取り出すと彼はくすりと笑う。
「女ってホント不思議なとこ気にするよね」
「だって。焼けたら取り返しつかないですもん」