ポケットに婚約指輪


「私、司さんがいないと生きていけないです」

「はは。すごい事言うね」


――――どうか私の甘えた一言が、あなたの力になりますように。


願った途端にお腹の虫がなって、私は慌てて、彼の首に回していた手を自分のお腹に戻した。


「腹減ったよね。さ、次は食事だ。美亜ちゃんに見せつけに行こうか」

「え?」

「俺が選んだ人をちゃんと紹介しておかないと」

「は、はい!」


彼に引っ張られてかけ出すと、リズムを刻むようにペンダントが首元に何度もぶつかる。

この首に光るペリドットはもう負け犬の証じゃなくて、あなたに愛されてるっていう証。

だから私はもう何も怖くない。

繋がれた彼の掌を強く握り返して、私は彼の背中を見つめた。




【fin.】


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