ポケットに婚約指輪
私の手首を両手で抑えて、上から覗き込むように見つめてくる。
こんな強引にされるといつもよりドキドキしてしまう。
まるで刺すような視線に顔が熱くなってきて目を合わせていられない。
「あ、あの」
「信用してないわけじゃないけどね。でもちょっとムカつく」
首筋に触れる司さんの唇。濡れた髪が頬をかすめて、その冷たさと息の暖かさで体がむず痒くなる。
「舞波さんとだけは絶対間違いを犯しませんってば!」
「舞波だけを警戒してるわけじゃない」
「ちょ、……んっ」
司さんはあっという間に私のパジャマのボタンを外す。はだけた胸元に顔を埋め、その手は私の脇腹の辺りをさすっていく。彼の手がもたらす感覚は、徐々に私の神経を鋭敏にしていくようだ。
「ん、痛っ」
甘い刺激の合間に、指すような痛みを感じた。胸の山裾のあたりを強く吸われたようだ。と思ったら次は先端を口に含まれ、甘い刺激が襲ってくる。
「あっ、やあん」
「ダメ。じっとして」
「んっ」
繰り返し繰り返し。小さな痛みと悦楽の甘みが与えられて、私は思考そのものを放棄して、彼のなすがままになった。
窒息するんじゃないかって思うほどの時間を終え改めて自分の体を見ると、胸元からお腹にかけて、たくさんの赤い花が咲いている。
「や、もう。こんなに」
「これでもしなんかあっても絶対男は萎える」
「そんなことになりませんてば」
「そう願うけどね」
これ以上の反論は聞かないよとばかりに、唇を塞いでくる彼。
信用してくれないのかなって思うと少し悲しくなるけど、そのキスに再び溺れてしまった私は、負の感情なんてすぐに忘れてしまった。