ポケットに婚約指輪
*
その後、里中さんからのメールはない。
「ねぇ、菫。結局どうなったのよ」
「返事待ちです」
「今度から私も送信先に入れなさいよね。ホント気が利かない」
「……すみません」
なんでこんなに怒られてばっかりいるんだろう。
私ってそんなにダメなのかな。
普段と同じ仕事をこなしているはずなのに、今日は一段と疲れた。
肩の辺りが重たくて、溜息ばかりがこぼれでる。
「菫、悪いけどこれコピー取ってきて」
「はい」
私と刈谷先輩は、働く年数こそ違えど確かに同じ階級なのに。
どうしてこんなに小間使いのように使われなくちゃならない?
「17時からの会議で使うんだから早くね」
「わかってますってば!」
思わず強気の声が出た。言ってから、先輩の強い視線に気づいて俯く。
「あらそう、じゃあ頼むわよ」
どうして負けちゃうの。
自分で言い返せばいいのに
だったら自分でやればいいじゃないですか、って。
言うべき言葉もちゃんと心の中には持っているのに。
その後、里中さんからのメールはない。
「ねぇ、菫。結局どうなったのよ」
「返事待ちです」
「今度から私も送信先に入れなさいよね。ホント気が利かない」
「……すみません」
なんでこんなに怒られてばっかりいるんだろう。
私ってそんなにダメなのかな。
普段と同じ仕事をこなしているはずなのに、今日は一段と疲れた。
肩の辺りが重たくて、溜息ばかりがこぼれでる。
「菫、悪いけどこれコピー取ってきて」
「はい」
私と刈谷先輩は、働く年数こそ違えど確かに同じ階級なのに。
どうしてこんなに小間使いのように使われなくちゃならない?
「17時からの会議で使うんだから早くね」
「わかってますってば!」
思わず強気の声が出た。言ってから、先輩の強い視線に気づいて俯く。
「あらそう、じゃあ頼むわよ」
どうして負けちゃうの。
自分で言い返せばいいのに
だったら自分でやればいいじゃないですか、って。
言うべき言葉もちゃんと心の中には持っているのに。