好きと言えるその日まで
プロローグ


 「友香」



 優しい声音で呼ばれて、手を差し出されていた。

 向かう先には眩いばかりに輝くステンドグラスを背景に、タキシードを着こなした大好きな先輩が立っている。

 一歩、また一歩と踏み出して私が歩くのはバージンロード。

 私……ついに、先輩と結婚できるのね!?

 信じられない!

 う、嬉しい、嬉しすぎる!!


 しかも、友香って。友香って先輩が呼んでくれた!!


 それだけで涙が出そうなのに、私に向けて伸ばされた手を掴みたくて必死に伸ばして私は歩く。

 あともう少し。

 あと数センチで指先が触れる!


 先輩―――!!!


 そう思った瞬間に、自分の足元が真っ黒になって体がそこへズドンと落ちた。


 「うわぁぁっ!!」


 ドスン。


 「ったぁあああぃぃい!!」

  
 どうやら私は寝ぼけてベッドから落ちたらしい。
 ぶつけたお尻がやけに痛くて、擦りながら体を起こした。


 「はぁあ――」

 
 私の恋、報われる日なんて、来るのかなぁ?

 そう思いながらも、今日も私は先輩を追いかけるために学校へ行く。
 
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