好きと言えるその日まで
 落胆した気持ちを露わに、肩をガックリと落として私はため息を吐きながら帰路を辿った。


 口の中でパイン飴を転がしながら、その甘さにムカついてガリッと噛んだ。


 「折角……会えるって、期待してたのにな……」


 ガツッ


 落ちてるちょっとばかり大きな小石を蹴りこむと、コロコロ転がった。


 はぁあ……


 蹴った石が前を歩く男子生徒に当たって


 『スミマセン!』
 
 『いや、いいけど』

 『ほんと、ごめんなさいっ。……あ、せ、先輩っ!?』


 なんて、乙女な展開は起こらなかった。


 ちぇー。


 折角先輩を追いかけてここまで来たのに。


 私、いつ先輩に会えるのかな……


 駅のホームに着くと、もう一度ため息を吐いた。


 ―――それもこれも、先生のせいだ。


 あらぬ方向に怒りをぶつけながら見たその先は、電車遅延中の文字が浮かんでいた。
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