好きと言えるその日まで
 ―――先輩を見つけ出すこともままならないままに、無情にも日々は過ぎていった。


 いつも先輩を探してた。


 中庭で、運動場で、廊下で、教科担当室で、食堂で。


 いつも見渡してはため息を吐き、でもまた自然と目が彷徨う。


 どこかにいないかなって。


 いっそ、西村尚人ーー!! って叫んでやろうかって思うくらいに。


 だけどそんなこと、出来るはずもなくて……


 私はただただ、先輩に会える日を想像してはニヤニヤするのが精一杯で。


 現実には何も進展はしなかった。


 「先輩……尚人、先輩……早く、会わせてよぉ……」


 ぺたりと頬を机にくっ付けて、目の前のパイン飴を転がすと勢いが付きすぎて落下した。


 私の気持ちまで転がって落ちたみたいで、苦さが胸に広がった。
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