好きと言えるその日まで
 「やめ」


 先生の低い声で、終了が告げられて身体の力を抜いた。


 余った時間で、途中まで見直したけどどうもこうも不安。


 「後ろから前に回答用紙を回して」


 との指示で後ろから回ってきた束に自分のを乗せて前に回した。


 それからまた設問を見直す。


 ―――あってる、よね?


 なんだか不安だ。


 これでまたダメだったらと思うと、それは恥ずかしすぎる。


 もうこれ以上の追試は勘弁してほしいし。


 「じゃあ、これで終わり。お疲れさんでした」


 先生の一言で各々教室を出ていく。


 そんな中私は、先ほどから用紙を見て見直し作業を続けていた。


 今さらだけど、なんとなく。


 だからすっかり忘れていたのだ、外からの視線のことを……
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