好きと言えるその日まで
 追試と無関係な彼に、かなり迷惑をかけたと反省しもう一度頭を下げるも


 「別に」


 顔も見ずに一蹴され、少しばかり凹む。


 そんな私の目に、バサッと机に置かれた彼の教科書が目に入った。


 その表紙に書かれた名前を思わず口にした。



 「西村……尚人……」

 「あ?」


 思わず呼び捨てでつぶやいてしまった私に、流石に私を振り返って見下ろされた。


 うそ、うそうそうそっっ!!


 「先輩!?」

 「は?」

 「西村尚人、先輩ですよね!?」

 「はぁ?」


 輝く瞳を抑えきれない私とは対照的に、訝しげな表情で私を見る先輩。


 だけど―――


 だってだって! 


 これじゃあ気づくはずもない。


 先輩の顔がスッキリしていて、しかも髪の毛もふっさりしてて!!


 おまけに背が高くなってる!!!
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