好きと言えるその日まで
 だけど、後には引けなかった。


 野球部もない。


 マネージャーにはなれない。


 先輩は私を知らない。


 加えてでかい学校で、また会える可能性もない。


 ―――私はパニックを起こしていた。


 だから、言っちゃったんだけど……


 「先輩が! 尚人先輩が好きなんです!!!」


 ぐしゃあっ。


 今まで散々見直しで見ていた設問用紙を握りつぶして、私は先輩に告白をしていた。


 当然、後先考えてなんてない。


 ただ、自己紹介のしようがこれ以上なくて、気持ちを吐露してしまった。


 握りつぶした用紙に、頭を下げて垂れ下がった髪。


 ぱらりと肩からセミロングの髪が落ちるのを感じながら、顔を上げることも出来ない私に


 「は? え?」


 先輩の言葉にならない言葉が聞こえた。
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