好きと言えるその日まで
 「いや、ちょ、待て。おかしいだろ」


 一つ、二つと呼吸をした先輩が、ふぅって息を吐いてから私にそう言った。


 それを聞いてようやく顔を上げた私は



 「おかしくなんて、ないですっ」


 先輩を睨みつけて言った。


 ―――あーもー!! 


 好きな人を睨んでどうする自分! なんて思いながらも、睨む表情を変えられない。


 そのまま二人対峙してたら


 「クククッ、お前馬鹿だろ」


 先輩が、苦笑いじゃなくて。


 本当におかしそうな顔をして笑った。


 その表情に驚いて、私はぽかんと先輩を見つめた。


 だって、先輩だよ?


 あの尚人先輩が、くしゃって笑って、しかも……私を見てる。
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