好きと言えるその日まで
 「卒業式の日! 先輩に花を贈ったの、私です!!」


 切り札と言わんばかりにそう言うと、先輩は逡巡した表情を見せてから合点がいった顔をした。


 「お前?」

 「そう、です」


 あの時の女の子、を指して尋ねられたのが分かって頷きながら返事をした。


 そしたら手が伸びてきて、ポンと頭に手を置かれた。


 すぐさまその手は離れたけど……触れられた頭が熱い気がする。



 「アレ、か……」


 懐かしいのか、昔を思い出すような表情を見せている先輩。


 どうやら少しだけでも私のことが脳裏に残っていたのが嬉しい。


 つい表情を緩めて笑みを浮かべていると、そんな私を余所に先輩はごそごそと片づけを始めた。


< 27 / 72 >

この作品をシェア

pagetop