好きと言えるその日まで
 無言で歩く時間が過ぎて、駅が見え始めたころ―――


 ようやく先輩が口を開いた。



 「お前に、言いたいことがある」

 「……はい」

 「誤解だ」

 「は?」

 「そのために、一緒に帰ってる」

 

 ??


 はてなが頭を駆け巡りながら先輩を見るも、先輩の目は正面しか見ていない。


 言われてることは意味不明で、それなのに先輩はその続きをなかなか言わない。


 何なの一体?


 と思いながら、辿りついた改札を潜って電車に乗り込むと、先輩は私を席へ座らせて私の正面に立った。

 
 なんか、この距離ってドキドキする―――


 
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