好きと言えるその日まで
 ユラユラ揺れる体に沿うように、心もぐらぐら揺れる。


 どうしていいのか分からなくて戸惑う私に


 「降りるぞ」


 駅の到着のアナウンスに合わせて、先輩が声を掛けてくれた。


 改札を潜って出ると


 「どっち方面?」


 と尋ねられて答えたら、


 「良かった、通り道だ」


 先輩はふっと息を抜いた。


 「えっと……」

 「送ってく」

 「え、え?」

 「行くぞ」


 先輩はまたも私を置いてけぼりにして歩きはじめた。
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