好きと言えるその日まで
 ―――困ってる。


 その言葉が痛い。


 私の気持ちが迷惑だって、そういうことだって思うから。


 やっぱり勢いで意味分かんないままに言うもんじゃないなって思った。


 ギュッと手に力を入れて、鞄を握りしめる。


 そして、先輩の2歩後ろついて歩いた。


 ただ黙って。


 先輩もそれから口を開かなくて、私たちはまた黙って歩いた。


 これじゃあ、一緒に帰ってるとは言い難いくらいに。


 もうすぐ家の近くだなってところで、先輩が立ち止まって振り返った。


 近づいた私をじっと見下ろして、また息を吐く。


 そんなに私、困らせてるの?


 だったら、それは辛いな……って思った。
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