好きと言えるその日まで
 「私っ、私も。分かんない、です」

 「え?」

 「先輩が見つかったのが嬉しくて、つい気持ち言っちゃったけど……それ以上、何も考えてませんでしたっ」


 恥ずかしさに頭を下げて涙を拭った。


 告白しといて、付き合ってーとか、そんなの何にも考えてなかった。


 ただ先輩がいたことが嬉しかったから。


 それが全てだった。


 「1年。ずっと先輩のいる学校に行きたいって思ってて。入学したらずっと先輩に会いたいって探し続けてて。そして今日会えた。もう、それで十分なんです。だから、だからその……」


 そう言って、またまごまごしてしまった。


 すると


 「やっぱお前馬鹿だな」


 先輩は私を見て笑った。


 「負けるわ、葛西には」

 「へ?」

 「なぁ」

 「……はい」
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