好きと言えるその日まで
 メモを開くと、予想通りの11桁の数字と英数字の並んだ文字たち。


 徐々に喜びが込み上げてきて、口角が上がる。


 「へへへっ」


 不審者間違いなしだなって思いながら、先輩の言葉を思い出してドキドキする。




 好きに、なって?


 私はきっと、もっともっと好きになるから―――



 明日か明後日か。


 それとも1月後か、はたまた1年後か分かんないけど……


 私、先輩に好きになってもらえるように頑張るから。


 だからお願い、少しだけ時間下さい。


 いっぱい頑張るから。


 見ててね、尚人先輩っ。



 先輩の去った方角を見ながら、私はにっこり笑うときゅっと目を閉じた。


 もう、困った笑い顔の先輩はそこにはなくて。


 嬉しそうに笑う先輩の顔が見えた。



 多分きっと、近いうち。


 蹴った石ころが先輩に当たって。


 「バカだろお前」


 って、言われるかなーなんて。



 まだまだ夢見る乙女な私に、付き合ってくださいって思いながら。


 私は鞄を握りしめて、見つめるその先に先輩を感じながら……私は家までの道のりを歩きはじめた。




 (fin)


 24.6.9
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